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エンジン位置の話 [├雑談]

ダグラスDC-9は1965年初飛行。

ボーイング737は1967年初飛行。

どちらも同時代に開発された双発の小型ジェット旅客機で、初期型は搭載エンジンまで同じです。

どちらもキャラ的に非常に良く似ているヒコーキなのですが、決定的な相違点はそのエンジンの取り付け位置。

DC-9が胴体後部に取り付けているのに対し、B737の方は主翼に取り付けています。

ジェット旅客機のエンジン取り付け位置は、「胴体後部派」か、「主翼派」のどちらかに分かれますが、

両者にどんな違いがあるのか。という話を。

 

1:エンジンFOD

主翼にエンジンを吊り下げる場合、リアエンジン機と比べてエンジン位置が地上に近くなります。

小型機の場合、吸い込み口と地上がかなり近くなってしまいます。

主翼吊り下げ機はリアエンジン機と比較して、地上の異物を吸い込む可能性がより高いと言えるでしょう。

また、あまり地上ギリギリだとエンジンが擦ってしまうかもしれません。

異物吸い込み、地上との接触を防ぐためには長い脚が必要で、これは重量、スペース面でマイナスです。

B737は途中からエンジンの径が太くなったため、主翼の取り付けにはいろいろと無理工夫が必要でした。

 

2:一発停止時の特性

主翼吊り下げ式の場合、リアエンジン機と比べてエンジンの左右の間隔が広いため、

どちらか一方が停止してしまうと、推力の左右のバランスが大きく崩れて機首がそちらに振られてしまいます。

そのため主翼の下にエンジンがある機は片肺時の直進性確保のため垂直尾翼が大きく、

737のように背びれがついていることもあります。

 

3:ディープストール

リアエンジン機はエンジンとの干渉を避けるためT字尾翼になるのですが、

失速時、主翼からの乱流に水平尾翼が入ってしまいます。

通常のヒコーキは水平尾翼で機首の上下のバランスを保っているのですが、それが効かなくなってしまいます。

失速から回復するためには直ちに機首を下げなくてはならないのですが、

T字翼の場合、機首下げどころか、却って機首が上がってしまうという、非常に危険な特性があります。

このためリアエンジン機は、失速が近づくとそれをパイロットに知らせる装置の整備が急がれました。

 

4:機体構造

主翼で発生させた揚力で胴体を持ち上げる訳ですが、この時主翼の付け根には大きな力がかかります。

胴体が重くなるごとに主翼付け根の負担は増すのですが、付け根の強度を無視して胴体に人や物を積み込んでしまうと、

最悪の場合、主翼が万歳してしまうことになりかねません。

それでそういう恐ろしい事態を避けるために、「胴体内に積めるのは最大これだけ」という重量が決まっています。

で、リアエンジン方式の場合、胴体後部に非常に重い金属の塊が付くことになります。

また飛ぶ時にはこのエンジンが機体全体を押しますので、胴体後部を非常に頑丈にする必要があります。

エンジン以外にも、作動機器、配線、配管やらで重量がかさみます。

リアエンジンにした場合、こうしたエンジン関係諸々の重量もそっくり主翼付け根の負担になってしまうため、

主翼付け根の構造をその分頑丈に作らねばならず、重量、スペースの面でマイナスです。

 

一方主翼にエンジンを取り付ける場合、それだけ胴体が軽くなるのでその分主翼付け根の負担が減るのに加えて、

飛行中、エンジンは主翼がめくれ上がるのを防ぐ重石役になり、これも主翼付け根の負担を軽減します。

そのためリアエンジン機に比べて主翼付け根の構造を軽くすることができます。

リアエンジン機が胴体後部を非常に頑丈に作らねばならないのに対し、

主翼にエンジンを配置する場合、重い燃料も、主脚もこの辺なので、

頑丈にしなければならない箇所が主翼周りに集中していることになり、胴体はシンプルに軽く作ることができます。

 

5:実際の運用面

少し前の記事でご登場頂いた以前空港に勤務していた友人にお聞きしました。m(_ _)m

リアエンジン機は主翼の下にエンジンがないので機体を低くすることができるため、

MDシリーズなどは機体から電動で折りたたみのステアウエイが出るのでステップカーが不要。

ローカルや離島の空港等、地上機材が限られている状況でも乗り降りに融通が利きます。

反面、リアエンジン機は主翼吊り下げ式よりエンジンの位置が高いため、 整備性はかなり悪いようです。

点検をする際も、ラダー(脚立)や車両が必要ですし、

航空機に装着する際も車両誘導要員や操作する要員が必要になるのでコストが大きく違うようです。

MD機のエンジンの吸い込み口にまん丸く光っている指輪みたいな部分がありますが、

以前ここに車両をぶつけたことがあり交換修理代は6,000万円もかかったのだそうです(恐)。

 

エンジンをどっちに付けるか1つとっても長短いろいろあるものなのですね~。


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コメント 8

カンクリ

流石とりさん!
シッカリと研究されてますねぇ~。(^^)v
そうそう、先日来日したウクライナのヒコーキは、非常に珍しく尾翼部分に4発のエンジン搭載でした。

by カンクリ (2012-03-27 09:13) 

an-kazu

おお、また一つ勉強になったφ(..)メモメモ
by an-kazu (2012-03-27 22:31) 

tooshiba

ボーイングもエアバスも、最新機種はどれもつりさげ式のところを見ると、機体後部に据え付けるやり方は、デメリットやコスト(製造時&運用中の保守)の方が大きそうですね。
by tooshiba (2012-03-28 00:51) 

とり

皆様 コメント、nice! ありがとうございます。

■カンクリさん
>尾翼部分に4発
おお、レア機を見ましたね!
オイラはまだ見たことないです。羨ましい。

■an-kazuさん
オイラもan-kazuさんのブログで海の勉強させて頂いております。

■tooshibaさん
>ボーイングもエアバスも
仰る通りですね。
B737,A320以上のクラスは主翼吊り下げ、それ以下のクラスはリアエンジンというのが主流になっています。
一か月後位にその辺の所を書く予定です。
by とり (2012-03-28 05:54) 

OILMAN

こんにちは。
リアエンジン機って少数派のイメージです。
ていうか、昔は多かったような気が・・・
やっぱり主翼吊り下げの方がいいんでしょうかね。
by OILMAN (2012-03-30 22:51) 

とり

■OILMANさん こんにちは。
確かに旅客機の世界では徐々にリアエンジン機が少なくなってますね。
三発機のイメージも強烈でしたよね。
主翼吊り下げ方式は機体にある程度の大きさでないと成立し難いのですが、
主翼吊り下げに出来るのならその方がメリットが大きいのではないかと思います。
by とり (2012-03-31 06:00) 

鹿児島のこういち

エンジンに地上の異物が吸い込まれるってとこで、戦闘機のエンジンに、迂闊に近づいた地上員が吸い込まれる映像を思いだしちゃいました(ノ_<。)
命は助かったみたいですが、引き込まれる姿は生々しくて、ぞぉ~っとしたのを覚えています(。-`ω-)
でも、B737は、大好きな飛行機なんですよ!
生まれて初めて乗った飛行機はYS-11なんですが、いかんせん幼すぎて記憶にございません(^_^;)ものごころがついてから搭乗した飛行機がB737なんですよ(^O^)/鴨池空港とも縁が深いですからぁ~(^o^)
昨日、4月1日は鴨池空港から溝部空港(鹿児島空港)に移転して40周年記念日で、空港はお祭りでしたよ(^O^)/
by 鹿児島のこういち (2012-04-02 18:49) 

とり

■鹿児島のこういちさん
溝部に移ってもうそんなになるのですね~。
元のターミナルビルがまだまだしっかりしているのでとてもそうは思えません。
その節は大変お世話になりました。m(_ _)m

地上員が吸い込まれる映像、オイラも見たことあります。
オイラが見たのは夜間の艦上のもので、イントルーダーか何かだったと思います。
by とり (2012-04-03 06:31) 

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